「犬と猫と人間と」ニュース Vol.23

2013.05.14 Tuesday

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  「犬と猫と人間と」ニュース Vol.23(最終号) 2013.5.14
     http://www.inunekoningen.com/
     発行:映像グループ ローポジション/合同会社東風
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 1年9ヶ月ぶりの発行となります!
 新作「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」をご紹介します。
 今後は「犬と猫と人間と2」ニュースと名称をあらためて配信
 していきます。

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 1.映画「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」
   6/1(土)より渋谷・ユーロスペースにて公開!
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 僕らがまだ知らない、動物と人間のいま
       未来につなぐため、いのちと向き合う

●作品紹介  
 東日本大震災では、犬や猫などの多くの動物たちも被災しました。
 津波はいくつもの別れと出会いを生み出しました。喪失を受け止め
 歩んでいく長い道のりがあります。
 原発事故に翻弄される福島では、取り残された犬や猫の苦難が今も
 続いています。そして、被ばくした牛たちを生かすべきか否か・・・。
 畜産農家とボランティアが立場を越えて困難に立ち向かう姿から、
 いのちの意味を問うていきます。
 監督は宮城県出身の映像作家・宍戸大裕。懸命に生きる動物たちと
 奮闘する人々に出会い、600日にわたりいのちを見つめました。
 構成・編集・プロデュースは『犬と猫と人間と』監督の飯田基晴。
 本作はスクリーンを見つめる私たち自身が、ともに生きるいのちに
 ついて考え、未来へと繋いでいくための物語なのです。

 2013年/104分/ドキュメンタリー
 監督・撮影・ナレーション:宍戸大裕
 構成・編集・プロデューサー:飯田基晴
 音楽:末森樹 整音:米山靖
 製作:映像グループ ローポジション 配給:東風

●公式サイトでは随時最新情報を更新しています。
 劇場予告編もご覧いただけます。
 識者・著名人コメントも揃いました!
 http://www.inunekoningen2.com/

<劇場情報>
 渋谷・ユーロスペースにて6/1(土)より公開!
 1回目11:50 2回目14:00 3回目16:40 4回目18:50
 ※1日4回上映 全席自由席 各回入替制 整理券制

 渋谷・文化村交差点左折 電話:03-3461-0211
 http://www.eurospace.co.jp/ 

●料金
 一般1700円/大学・専門学校生1400円/会員・シニア1200円/
 高校生800円/中学生以下500円

●劇場トークイベント
 6/1(土) 1回目&2回目上映後:宍戸監督、飯田基晴舞台挨拶
 6/2(日) 2回目上映後:渡辺眞子さん、宍戸監督、飯田トーク
 6/8(土) 2回目上映後:浅田美代子さん、宍戸、飯田トーク
 6/9(日) 2回目上映後:穴澤賢さん、宍戸、飯田トーク

●お得な全国共通・特別鑑賞券(1400円)のお買い求めは、劇場窓口、
 プレイガイド、以下の東風オンラインショップ等でお買い求め
 いただけます。
 http://tongpoo-films.shop-pro.jp/?pid=57220786

<関連イベント>
●5/27(月)公開記念イベント「わたしたちにできること」開催!
 http://inunekoningen2.com/news/?p=269
 宍戸監督と飯田プロデューサーに加え、テレビのペット番組でも
 おなじみの松本秀樹さんをお迎えして、それぞれの視点で“動物
 と人間との関係“について語っていただきます。

 会場:代官山 蔦屋書店1号館 1階 総合インフォメーション
 時間:19:00〜20:30予定
 参加費:無料【要事前予約】
 参加方法:GREEN DOG代官山店頭、またはお電話にて受付
 TEL:03-6427-8739 (営業時間:9:00-21:00)
 主催:GREEN DOG http://www.green-dog.com
 協力:代官山 蔦屋書店

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 2.宍戸大裕(ししど・だいすけ)監督のメッセージ
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 大震災と原発の爆発事故という史上初めての事態から、2年2カ月。

 「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」
 この映画は、動物たちと人びとが歩んできた道、そしていま歩み
 ゆく姿を描いています。
 3週間後の6月1日、東京渋谷のユーロスペースで公開を迎えます。

 この現実を、まだ知らない人々にこそ届けたい。そして一緒に考え
 てもらいたい。ともに生きる命のことを。
 製作や上映活動を通して、たくさんの人と知り合うことができまし
 た。はるか前から動物とともに歩んできた人、震災に直面して活動
 を始めた人、みなそれぞれに想いを持ちながら、出来ることに取り
 組んでいます。その人々の力を借りて、この映画を全国に届けるこ
 と、それが僕の役割です。
 ともに生きるいのちに想像力をふくらませ、そしてこれからもとも
 に生きていくために、この映画を、必ずあなたのもとにも届けたい。
 どうぞ、皆さんの力を貸して下さい。

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 3.「犬と猫と人間と2」応援団募集中!
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 チラシ配布やポスター掲示、全国共通特別鑑賞券の販売など、
 映画の応援団になってくださる方々を募集しております。
 応援団の方々には、通常よりお得な価格で鑑賞券をご案内
 しています。併せて鑑賞券の委託販売も行っております。

 ご協力いただける方、ご興味持ってくださった方は下記まで
 お気軽にご連絡ください。

 配給・宣伝:東風
 電話:03-5919-1542(平日11:00−18:00)
 FAX:03-5919-1543
 Email:info@inunekoningen.com

 また応援団のみなさんをご紹介するページを公式サイトに
 作っていますので、よろしければぜひ!
 http://inunekoningen2.com/news/?cat=7

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 4.「犬と猫と人間と2」公開劇場!
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 現在、以下の映画館での上映が決定しております。
 頑張ってまだまだ増やします!

 神奈川県 ジャック&ベティ  045-243-9800 6月22日(土)〜
 栃木県  フォーラム那須塩原 0287-60-7227 6月22日(土)〜
 新潟県  シネウインド    025-243-5530 6月29日(土)〜
 山形県  フォーラム山形   023-632-3220 7月公開予定
 宮城県  フォーラム仙台   022-728-7866 7月公開予定
 福島県  フォーラム福島   024-533-1515 順次公開
 愛知県  名古屋シネマテーク 052-733-3959 順次公開
 大阪府  第七藝術劇場    06-6302-2073 夏公開
 京都府  京都みなみ会館   075-661-3993 夏公開
 兵庫県  神戸アートビレッジセンター 078-512-5500 夏公開
 岡山県  シネマクレール丸の内 086-231-0019 順次公開
 広島県  横川シネマ     082-231-1001 夏公開
 福岡県  KBCシネマ      092-751-4268 夏公開

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  5.関連情報!
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●映画「犬と猫と人間と」関連商品
 ・「犬と猫と人間と」DVD
 ・DVD「いぬとねことにんげんと」
    (ダイジェスト版 映画「犬と猫と人間と」)
 ・書籍「犬と猫と人間と いのちをめぐる旅」

 いずれも好評発売中!
 全国の書店、DVDショップ、Amazonなどのネット通販でご注文可。

●ツイッターやフェイスブックでも発信中!
 最新情報は以下で発信しています。ぜひフォローお願いします。
 ○ツイッター 
  飯田基晴 http://twitter.com/iidamotoharu 
  宍戸大裕  http://twitter.com/shishidodaisuke
    配給・東風 http://twitter.com/tofoo_films
 ○フェイスブック
  飯田基晴、宍戸大裕 で検索お願いします。

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■以上、転送歓迎です。

連載エッセイ8 ペットオークション

2013.05.13 Monday

 犬や猫は、どんな道をたどって飼い主の元へ来るのだろう?
 繁殖させるブリーダーがいて、その動物を販売するペットショップがある。ここまではよく知られている。だが、その間にしばしば、ペットオークション(競り市)が介在するのをご存じだろうか。
 その様子を見学したことがある。

 倉庫を改装したオークション会場に入ると、中央にコンベヤーのようなラインがまっすぐに備え付けられていた。商品である動物たちは、おりや段ボール箱に入れられて、ライン上を流れてくる。向かいには階段状の座席が並び、そこにペットショップのオーナーや仕入れ担当者が座る。

 ラインの真ん中には競り人が立っていて、箱の中の動物たちを、客へ向けて持ち上げて見せる。ハムスターなど、単価の安い小動物は箱に何匹も詰められていて、ひと箱単位で競りにかかる。
 子犬や子猫だけでなく、小鳥や爬虫(はちゅう)類にサルまで、多種多様なペットたちが、次々と登場しては値段が決まっていく。

しかし、買い手のつかない動物も現れる。次のオークションへ回るのだろうが、そこでも売れなかったとしたら…。その行方が気になってしまう。
 おりの中で子犬が震えている。まだ幼い動物にとって、ここに持ち込まれることは心身ともに大きな負担だろう。それでも行われるのは、売る側、買う側の双方にとって便利だからだろう。
 つまり、人間の商売の都合なのだ。

 「いのち」が商品として扱われていることを、まざまざと感じさせる場所だ。会場では皆、黙々と自分の仕事を行っている。多くの動物たちが持ち込まれ、競りは延々と続く。ずっと見ていると、次第に僕も慣れてきて、目前の光景への違和感が薄れてくる。
 これもまた、ペットを取り巻く、知られざる「日常」なのだ。

 飯田基晴(映画監督)

連載エッセイ6 現実伝える難しさ

2013.04.25 Thursday

現実伝える難しさ   飯田基晴  

 捨て犬、捨て猫にかかわる人々を描いた映画「犬と猫と人間と」では、さまざまな現場を取材したが、取材を拒否されることも少なくなかった。
 捨て猫が多いことで知られる地域を訪れたときのこと。エサやり、病気の治療、不妊・去勢の手術など、ボランティアとして猫を世話する人たちに取材を依頼したところ、こんな返事が返ってきた。
 「テレビや新聞、雑誌で活動が紹介されるたびに捨て猫が増えた。猫が多いなら1匹くらい捨ててもいいだろうとか、ここなら捨てても生きていけると考えるのでしょう。でも私たちも限界、これ以上は無理。だからもう取材は一切受けません。この地域も取り上げないでほしい」
 また別の地域でボランティアをしている女性からは、こんなふうに断られた。
 「野良猫の世話は、家族に秘密だから取材なんてダメ。猫のためにいくら使ったか、夫にはとても言えない」
 保健所や動物愛護センターなど、行政の施設に収容動物の撮影を依頼したときも、取材拒否が続いた。理由は市民からの苦情だ。捨てられて処分を待つ犬や猫の姿が報じられると、殺すなんてかわいそう、といった感情的な非難が多く寄せられるという。
 処分するだけでなく、少しでも救おうと努力している施設も少なくないのだが、見る人には、悲惨さばかりが印象に残るのだろう。
 本当は言いたいこともあるし、人々に現実を知ってほしい。でも表に出れば、また捨てられたり、非難も浴びる。それぞれの人から、そんな葛藤(かっとう)を感じた。
 動物愛護の活動を単純な美談にまとめたり、捨てられた動物の悲惨さを強調するだけでは、こうしたことが繰り返されるだろう。現状をきちんと見つめて考えられる映画にしたいと、あらためて思った。(映画監督)

連載エッセイ4 しろえもんの「しつけ」

2013.04.12 Friday

しろえもんの「しつけ」   飯田基晴

 映画「犬と猫と人間と」では、捨てられた犬や猫をめぐり、さまざまな現場を描いた。
 その中で「しろえもん」という名の犬が、まるで主役のように繰り返し登場する。動物愛護団体の施設に保護され、そこで新たな飼い主が決まって一度はもらわれたが、やんちゃで力が強く甘がみもきついため「手に負えない」と、施設へ返されてしまう。
 人なつっこい犬なのだが、興奮すると細長いシッポをビュンビュンと振り回し、猛スピードで駆けまわる。こうなると施設のスタッフでも、扱いに困るほどだ。このしろえもんに新たな飼い主を見つけてやれるよう、施設でしつけに取り組む様子が、映画の縦軸となった。
 犬のしつけには、大別すると2種類のやり方がある。罰を与えるしつけと、ご褒美を与えるしつけだ。くしくもしろえもんは、その両方を受けることになった。全身で喜怒哀楽を表す犬なので、それぞれのしつけを受けているときの様子は、見ものでもある。
 最初に受けたのは、人間の言うことを聞かなければ、体罰として、チョークチェーンという首輪代わりの鎖を引っ張られるしつけだった。一定の成果はあったものの、しろえもんには強いストレスがかかってしまう。 そこで今度は、言うことを聞けば、ご褒美として食べ物をもらえるしつけに切り替わる。食いしん坊なので喜んでしつけに取り組み、どんどん学習を重ねていく。
 ところで、「しつけ」というと、犬に行儀を教え込むもの、そんな印象があるだろう。だが、褒めて伸ばすしつけでは、飼い主が犬の性質を学ぶことも、大きな割合を占めている。
 映画でも、しつけを通して、しろえもんと施設スタッフがお互いに理解を深め、笑顔が増えていく様子を描いた。そこには異なる種である人間と犬が、共存するための知恵があるように感じた。(映画監督)


「犬と猫と人間と2」劇場初日決定! これまでに寄せられたコメント

2013.04.10 Wednesday

「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」、渋谷・ユーロスペースでの公開初日が6月1日(土)に決定しました!
1日4回上映で、1)11:50、2)14:00、3)16:40、4)18:50です。

終了はまだ未定ですが、大勢来て頂ければ公開も延びます。
そして東京でお客さんの入りがいいと、地方の上映館が増えます!
ぜひぜひ、どうか、お早めに!!

また、前売り鑑賞券の販売がまだ伸び悩んでいます。
ぜひ、お得な全国共通特別鑑賞券(前売り券)をお買い求め頂けたら幸いです。
詳しくはこちらから。http://inunekoningen2.com/news/?p=25


それから、劇場公開に向けてコメントも集まってきました。
それぞれに思いのこもった言葉を寄せて頂き、本当に感謝しています。

犬童一心(映画監督)
「どうせ死ぬはずだったんだから見殺しにしたっていいじゃないか?」。身の丈のカメラアイが捉える、震災の中に投げ出された動物の姿、人の心。動物達の目がじっとカメラを見つめる。その目の奥に宿った命の光。そして、いつしか、どんなときも人であろうとするために闘う「抵抗」の物語が浮かび上がってくる。心揺さぶられた。ローポジションは前作に続き、粘り強く真摯な、必見の作品を生み出した。観て、語りあって欲しい映画だ。

清水浩之(ゆふいん文化・記録映画祭コーディネーター)
《経済価値》なしとされた牛の救援に奮闘する人々を描いた後半が素晴らしい。
「出会ってしまった命だから」という言葉に、ヒトとしての《仁義》を再認識させられる。ボランティアの人たちはなぜ孤立もおそれず救援活動を続けるのかを、宍戸監督&飯田Pのコンビが丁寧に解き明かした構成が見事。「バカを承知で」共闘に乗り出す牧場主さん、まるで任侠映画の池部良みたいにかっこよかった!

松本秀樹(ドッグライフコンサルタント)
インタビューしている時にその対象者さんが首から下げている放射能測定器がけたたましく鳴り響く。 本物?と疑いたくなるような動物達の死体が映る。紛れもない真実であるそれらを見ている間中、自分が自分に問いかける「生きるとは?」「生きているとは?」「生かすとは?」「命とは?」「正義とは?」・・・ この映画のショッキングな場面を見て、なるべく多くの人の心がショックを受けてもらいたいと思いました。 その心のへこんだ部分、壊れた部分から問いかけた答えが返ってくるような気がします。

渡辺眞子(作家/「捨て犬を救う街」)
いのちは儚い。心はもろい。けれど、たくましい。
この作品が暗闇に射す一筋の光となり、次の世代への道しるべとなってくれますように。

杉本彩(女優/作家)
動物たちのいのちを見捨てる国に、人の幸せなどあるはずがない。
だから人の幸せを考えるとき、この作品に映る動物たちの姿から、目を背けてはいけないのだ。

連載エッセイ3 よみがえった手ざわり

2013.04.09 Tuesday

よみがえった手ざわり   飯田基晴

  

 猫好きなおばあさんからの依頼で、僕は捨てられた犬と猫についてのドキュメンタリー映画を作ることになった。

 僕自身が動物好きだったわけでもない。こんな自分でいいのか、そんな不安を持ちながら取り組んでいた。取材を重ねるにつれ、好きな人ほど、こうした現実に直面するのはつらいだろうし、なかなか冷静に見られないだろう、そんなふうに感じるようにもなってきた。

 殺処分を待つ犬を撮影したときのことは、僕も一生忘れないだろう。千葉県動物愛護センターの犬舎には、野犬から飼い犬、雑種から純血種までさまざまな犬が収容されていた。

 撮影のために犬舎についた窓を開けてもらうと、中から一匹の犬が身を乗りだしてきた。瞳を輝かせてこちらを見つめ、シッポを振る。何を訴えているのか、僕でもわかった。

 「ここから出して」 あんまり甘えてくるので、思わず手を伸ばして、犬の頭をなでた。短くそろった毛は心地よく、その下からぬくもりが伝わってくる。お返しに手をなめられて、犬のよだれでベトベトになる。どこにでもいる、ありふれた、当たり前の犬の手ざわりだった。

 人間の都合でここにいるにもかかわらず、そのまなざしは、いまだ人間に対する信頼を失っていないようだった。

 撮影中は気を張っていたこともあり、感傷的になる間もなかったが、帰りの車のなかで、なでたときの手ざわりがよみがえった。

 あの犬も来週には処分される。

 殺処分の理不尽さが、僕の体から心に伝わってきた。その瞬間、涙が止まらなくなった。

 このような出会いと別れを繰り返し、捨てられた犬や猫をめぐる問題が、少しずつ自分のテーマになっていったように思う。この映画は、そんな僕の歩みの記録でもある。(映画監督)

連載エッセイ2 いのちの選択

2013.04.08 Monday

いのちの選択   飯田基晴  

 捨て犬、捨て猫が、保健所に持ち込まれることは知られている。だが、その後はご存じだろうか?
 各地に動物愛護管理センターという施設があり、犬や猫は保健所からそこに移され、二酸化炭素で殺処分される。
 捨て犬や猫をテーマに製作した映画「犬と猫と人間と」の取材で、出合った光景を紹介しよう。
 僕が知り合ったボランティアの女性は、動物愛護センターに収容された犬の中から、新たな飼い主が見つかりそうな犬を引き取り、自宅で預かる活動をしていた。
 彼女に同行し、あるセンターの収容犬舎に入ると、2匹の犬がいた。毛の汚れた雑種の老犬と、元気のよいビーグルだ。彼女はビーグルの健康状態を確認すると、センター職員に「預かり先を探すので、保管期限を延長してほしい」と頼んだ。
 職員は、「もう一週間保管しましょう」と応えた。話がつくと、彼女は足早に立ち去り、最後まで老犬を見なかった。気にしてないのではない。救えない老犬がかわいそうで、目を合わせられないのだ。
 すべての命を救うことはできない。だから、どの犬を救うか選ばなくてはならない。その基準は、新たな飼い主を見つけられるかどうか。老犬より若い犬、雑種より純血種、臆病(おくびょう)な犬より人になつく犬。そうやって選ばなければ、1匹も救うことはできない。
 ぼくは、戦場で治療にあたる医師の話を思い出した。どんどんけが人が運び込まれるが、薬も人手も足らず、とても全員は救えない。誰を優先して救っていくか、医師が選ばなくてはならない。つらい決断だろう。
 彼女たちボランティアがやっていることも、これと似たようなことだ。こうした活動は各地で行われているが、それでも日本国内で、年間30万匹近い犬と猫が殺処分されている。
 犬と猫をとりまく現実の厳しさを思い知る取材だった。(映画監督)

※データは執筆した2010年のものです。

連載エッセイ1 猫おばあちゃんとの出会い

2013.04.05 Friday

飯田です。
3年ぶりに、共同通信社から全国の地方紙に配信されるペットエッセイを書くことになった。
そういえば前回のエッセイの一部は、DVD「いぬとねことにんげんと」(ダイジェスト版「犬と猫と人間と」)の付属冊子に転載したが、こちらのブログでもアップしようと思い、しそびれていた。
ということで、いまさらですが12回の連載を順次アップしようと思います。

皆さんにも久しぶりに「犬と猫と人間と」の世界を思い出してもらえたら幸いです。
 ※時系列は執筆した2010年のものです。


猫おばあちゃんとの出会い   飯田基晴
  
 「動物の命の大切さを伝える映画を作ってほしいの。お金は出します」。見知らぬおばあさんに、いきなりそう切りだされたのは6年ほど前のこと。それが、捨てられた犬と猫についてのドキュメンタリー映画「犬と猫と人間と」を作るきっかけだった。
 映画製作を依頼してきたこの女性、稲葉恵子(いなば・けいこ)さんは長らく、捨てられた猫の世話を個人でしていた。「世話を休めないから、もう何十年も旅行に行ってないわ」。シャイな方らしく、うつむき加減でしゃべってあまり目を合わせない。映画の製作費には、満期を迎える自分の生命保険を充てたいという。
 「なぜ犬や猫のためにそこまでするのか?」。誰もが思うであろう疑問を、本人にぶつけてみた。「人間も嫌いじゃないけど、人間より動物のほうがマシみたい」。そんな答えが返ってきた。 映画の取材を進めるうちに、彼女の言葉の意味が分かってきた。
 犬や猫に寄り添って社会を見つめると、人間のエゴが見えてくる。身勝手な理由で動物を捨てる人や、虐待する人に出会うのだ。人間に失望したくなる気持ちは、保護活動にかかわる多くの人が味わうことでもあった。
 それは根源的には、人とペットの関係についても言えることだ。ペットは人間の都合で「商品」「家族」「不用品」と、その役割を変化させられてしまう。
 「人間が動物を飼うこと自体が間違いだったのではないか」。真剣に考えるからこそ、そう話す人もいた。だが、動物を捨てるのも人間ならば、救うことができるのも、また人間なのだ。だからこそ、稲葉さんは映画を作ろうと思ったのだろう。
 しかし、製作に4年近くかかり、彼女の存命中に完成させることはできなかった。いま、稲葉さんから受け継いだ「思い」のバトンを、映画上映を通じて、観客一人一人に手渡しているような気がする。(映画監督)

「犬と猫と人間と」の十戒

2013.04.05 Friday

突然ですが皆さん、「犬の十戒」はご存知ですか?
犬の立場から、人間に飼うことの心構えを語りかける、作者不詳の英語詩です。
知らない方はネットで検索すれば、いろんな翻訳が出てきますので、ぜひご覧ください。

そこで思いつきました。


「犬と猫と人間と」の十戒


1.  映画の劇場公開はどこも数週間。
     どうか見逃さないでください。
     あなたに観てもらいたいのです。

2.  上映中は携帯電話やスマホは電源を切り、じっくり観てください。

3.  最後まで観てください。それだけで感謝です。

4.  よかったら映画の感想を聞かせてください。
    もし意味が分からなくても、聞かせてもらったことは忘れません。

5.  観るのがつらそうな映画だと敬遠しないでください。
    一番つらいのはあなたではなく、困難を生きる人と動物たちです。

6.  あなたのご家族、友人知人に映画を広めてください。
    それができるのはあなたしかいません。

7.  一度観ただけで判断しないでください。
     二度観たらもっとよくわかるかもしれません。

8.  映画のパンフレットもご覧ください。
   もっと理解が深まります。

9.  観た後も応援してください。
    劇場公開後は自主上映会やDVD発売もあります。

10. 映画で知った現実を、どうか忘れないでください。
  

「犬の十戒」と見比べると味わい深い、かもしれません。

『犬と猫と人間と2 動物たちの大震災』サロントーク&交流会

2013.03.27 Wednesday

犬猫ものがたり6〜天災と人災と、命の軌跡〜
『犬と猫と人間と2ー動物たちの大震災』サロントーク&交流会
宍戸大裕監督 X 飯田基晴プロデューサー 進行:牧

『犬と猫と人間と』の飯田監督が名取出身の宍戸監督にバトンを渡し完成まで導いた待望の第2弾。
大地震、津波、福島原発・・・。
今に続く命の軌跡を追い、問いかける入魂のドキュメンタリー。
5月からの全国ロードショーに先立ち存分に語っていただきます!
※映画は紹介のみになります。作品観賞は映画館でぜひ!

2013年4月14日(日)17:00〜19:00(開場16:30〜)
定員:30名
参加費:2000円(シェルター援助金込)
会場:ヘムスロイド・ハウス2F ミモザ・ギャラリー
   〒107-0061 東京都港区北青山1-5-15

*予約
inunekomonogatari@gmail.com
03-3721-1970 / 080-3727-1914 (マキ)


*併催:4月8日〜14日
  家族募集中の犬猫達を写真紹介
  「Wauschwitz ワウシュヴィッツーちいさな原画展」
   (文:吉川愛歩 絵:矢原由布子)
  関連書籍、DVD、グッズ販売あり。

*犬猫ものがたり
http://yhi1971.com/inunekomonogatari