徳島での出会い

2007.02.01 Thursday

制作中の「犬と猫と人間と」についてはなかなか記せないのですが、今回は事情もあるので特別に。

1月末、徳島で保護されていた崖っぷち犬の譲渡会が開催されるとのことで、僕らも取材に行きました。

徳島取材1

と言っても、目的は今回の騒動の裏側。
当日はマスコミが大挙し、崖っぷち犬やその希望者を取り囲んでいました。
その脇で、数匹の子犬を連れて来た子どもたちに出会いました。

徳島取材3

話を聞くと、近所で拾った子犬8匹を1ヶ月以上自分たちで世話をしてきたそうです。しかし近隣の通報により、間もなく保健所から捕まえに来ると言います。4匹は飼ってくれる人を見つけたが、残りまだ4匹。そのもらい手を探しに来たとの事でした。

徳島取材7

子犬たちは生後2ヶ月前後といったところでしょうか。

徳島取材8

20台以上のテレビ/ビデオカメラが崖っぷち犬とそのもらい手を追いかけ回していましたが、この子らに話を聞く取材者はごくごく僅か。
1匹だけはもらい手が見つかったものの、子どもたちは途方にくれているようでした。

僕らは翌日子どもたちのもとを訪ねてみました。

徳島取材11

世話をしていたのは、小学校3〜6年生の10人ちょっとの子どもたち。原っぱにダンボールで寝床を作り、自分たちのお小遣いでドッグフードを買っていました。1匹1匹に名前をつけて可愛がり、子犬たちもとっても懐いているようでした。

徳島取材6

お母さん方に話を伺うと、命を預かる責任を学んでもらうためにも、敢えて大人は手を出さないようにしてきたとのこと。
ただこれ以上この原っぱで世話をするわけにもいかず、手分けして自宅で面倒を見ているそうですが、かなり負担になっているようです。

2/1現在、残りあと2匹。もし徳島近郊で、責任持って子犬を育てられるという方がいたら、ぜひローポジションまでご一報下さい。
と書いていたところ、全て里親が決まったとの連絡がありました!よかった〜。
子犬たち、新たな環境で幸せになってね!

『学校を辞めます −51才の僕の選択−』 (湯本雅典/16分/2006年)

2007.01.24 Wednesday

学校を辞めます

飯田です。先週まで編集に追われてたので仕事がたまっているのですが、今どうしても紹介しておきたい作品なので、ちょっとがんばって記します。

この作品は制作者、湯本さんが自らの教員生活を終えるに至る様子を描いたものですが、僕が何より感じたのは「愛」です。また本人の生き様として作らざるを得なかったという、表現としての純度の高さも印象的です。
ご本人とは以前からの知り合いですが、映像サークル「風の集い」で作品を見せてもらったとき、僕は作者の隣で号泣してしまいました。

内容としてはこんな感じです。
長年、子どもと接する「小学校教員」という仕事を愛してきた湯本さん。(その傍らコツコツと自分で映像作品を作っていました)現在、教育現場では上からの管理・締付けが高まっており、本人も理不尽な命令と闘う中で心身に過大なストレスを抱え、ついに自ら退職を選びます。
一方で子どもたちと別れたくないという気持ちは日増しに高まり、葛藤を抱える中で最後の授業に向かいます…。

おそらくは、もっとも苦しい時期を乗り越えるための武器が、まさに「この作品を作ること」だったのでしょう。「教員を辞める自分」を「表現者としての自分」がギリギリのところで見つめ、執念を感じる映像の記録と、抑制された表現を生み出しています。
圧巻はクライマックスの最後の授業。
得意の読み聞かせという形式で、子どもたちへ自らの母の戦争体験を語るという姿からは、お母さんとの愛、生徒たちへの愛が2重ににじみ出ているようです。

この作品は今年の東京ビデオフェスティバルで優秀賞の1本に選ばれ、現在インターネット上で作品を視聴することができます。http://www.jvc-victor.co.jp/tvf/
ぜひご覧になって頂ければと思います。

映画「それでもボクはやってない」感想

2007.01.16 Tuesday

ツチヤです。
日本でも大ヒットしその後、
ハリウッドでリメイクもされた
映画「Shall We ダンス?」の監督・周防正行監督の
11年ぶりの新作「それでもボクはやってない」。
先日、試写会へ行ってきました。

ストーリーは、痴漢に間違えられた青年が冤罪で囚われ、
裁判で真偽を問うというシンプルなもの。

こういう「地味」な映画が、ヒットすることを願って
自分のブログに感想を書いてみました。
その文章を加筆訂正し、転載します。

「それでもボクはやってない」は
1月20日より、全国で公開されます。
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1月11日、周防正行監督の11年ぶりの
新作「それでもボクはやってない」の試写会へ出向いた。

ストーリーは、痴漢に間違えられた青年が冤罪で囚われ、
裁判で真偽を問うというシンプルなもの。

冤罪を映画のテーマとして取り上げる際、
メジャー配給下で上映されるのを考慮しとても身近で、
しかも、ある意味下世話(?)な痴漢冤罪を選んだのだろう。
都市生活者なら誰もが遭遇する危険と可能性があるからだ。
練りに練られた脚本からは、そんなことをしっかりと感じることが出来た。

映画の全体的な印象としては、色彩が灰色という感じ。
これまでの周防監督作品の持ち味である笑いの要素は極端なほど、
抑制されている。
ボクは終始、緊張しながらラスト近くでは、
左手で右手をギュッと握りながら観ていた。
ボクが被疑者と同じ境遇に置かれたら・・・。
そんな恐怖感でいっぱいになった。

ボクが笑えたのは、竹中直人さんの最初の出演シーンくらいだった。
しかし、会場内では複数回も、笑いが起きていた。
それは、被疑者役の青年が理不尽な目にあっているシーンの時だった。
笑っていた人たちは、自分自身や身近な人がこんな目にあったら、
笑っていられるのだろうか。
それとも、もうすでに似たような目にあって共感して笑っていたのだろうか。

映画「それでもボクはやってない」は海外での上映時に、
笑いがとても多く起こっているらしい。
「ニッポンは、何て野蛮な国家なんだ?」と笑っているのだろうか。

日本の裁判が、被疑者に対して寛容でないことは
少しでもこの国の歪みを知っている人ならもう判りきっている事実だと思う。
でも、「復習」や「予習」の意味も含め観てほしい。
これが、裁判だと。

この映画がヒットすることを願う。
そして、冤罪で囚われの身となっている人々のことを
少しでも考える切っ掛けになればいいなと思う。
ボクらへ、いつ冤罪が降りかかってもおかしくないのだから。