数字で見る「犬と猫と人間と」制作状況

2007.02.15 Thursday

「犬猫の映画はまだできないの?」としばしば聞かれる。
撮影を開始したのは2005年5月だが、いまだ撮影を続けている。我ながら何とも悠長な話だ。この間に取材テープは1時間のものが89本、取材先は約30ヶ所、撮影日数は79日となった。
とにかくこれまで闇雲に、犬猫を取り巻く様々な場所/ひとに出会ってきた結果である。

この秋には撮影を終了するつもりだが、それまでにまだまだ撮りたいものがある。この様子では取材テープは120〜150本、取材先は50ヶ所、撮影日数は100日以上になるのではないか? 時間をかければいい作品ができるとは限らないし、取材テープが多いことなど自慢にもならない。
2時間以内の作品を1本作りたいだけなのにこの膨大な量…。最近ちょっと目まいすら覚える。

昨年夏にある施設を取材した後、スタッフから「ようやく本当の意味でスタートラインに立った気がする」との感想が出た。
また今年入ってからは「ようやく面白くなってきた」との声もあがった。そう思えるのは、易々とは撮れない「出会い」を重ねたからだろう。

ドキュメンタリー映像は何を持って「ドキュメンタリー映画」と呼ばれるものになるのだろう? そこに明確な定義はないが、分かりやすいひとつの基準は、映画館での公開だろう。つまり観てくれる人にお金を払ってわざわざ足を運んでもらうこと。
それは半端なことではないと思っている。

まだ確信とはいかないが、最近ようやく「観てもらう価値」のある作品を作れるかも、と感じている。

案外2〜3本になっちゃったりして。
(飯田)

徳島での出会い

2007.02.01 Thursday

制作中の「犬と猫と人間と」についてはなかなか記せないのですが、今回は事情もあるので特別に。

1月末、徳島で保護されていた崖っぷち犬の譲渡会が開催されるとのことで、僕らも取材に行きました。

徳島取材1

と言っても、目的は今回の騒動の裏側。
当日はマスコミが大挙し、崖っぷち犬やその希望者を取り囲んでいました。
その脇で、数匹の子犬を連れて来た子どもたちに出会いました。

徳島取材3

話を聞くと、近所で拾った子犬8匹を1ヶ月以上自分たちで世話をしてきたそうです。しかし近隣の通報により、間もなく保健所から捕まえに来ると言います。4匹は飼ってくれる人を見つけたが、残りまだ4匹。そのもらい手を探しに来たとの事でした。

徳島取材7

子犬たちは生後2ヶ月前後といったところでしょうか。

徳島取材8

20台以上のテレビ/ビデオカメラが崖っぷち犬とそのもらい手を追いかけ回していましたが、この子らに話を聞く取材者はごくごく僅か。
1匹だけはもらい手が見つかったものの、子どもたちは途方にくれているようでした。

僕らは翌日子どもたちのもとを訪ねてみました。

徳島取材11

世話をしていたのは、小学校3〜6年生の10人ちょっとの子どもたち。原っぱにダンボールで寝床を作り、自分たちのお小遣いでドッグフードを買っていました。1匹1匹に名前をつけて可愛がり、子犬たちもとっても懐いているようでした。

徳島取材6

お母さん方に話を伺うと、命を預かる責任を学んでもらうためにも、敢えて大人は手を出さないようにしてきたとのこと。
ただこれ以上この原っぱで世話をするわけにもいかず、手分けして自宅で面倒を見ているそうですが、かなり負担になっているようです。

2/1現在、残りあと2匹。もし徳島近郊で、責任持って子犬を育てられるという方がいたら、ぜひローポジションまでご一報下さい。
と書いていたところ、全て里親が決まったとの連絡がありました!よかった〜。
子犬たち、新たな環境で幸せになってね!

『学校を辞めます −51才の僕の選択−』 (湯本雅典/16分/2006年)

2007.01.24 Wednesday

学校を辞めます

飯田です。先週まで編集に追われてたので仕事がたまっているのですが、今どうしても紹介しておきたい作品なので、ちょっとがんばって記します。

この作品は制作者、湯本さんが自らの教員生活を終えるに至る様子を描いたものですが、僕が何より感じたのは「愛」です。また本人の生き様として作らざるを得なかったという、表現としての純度の高さも印象的です。
ご本人とは以前からの知り合いですが、映像サークル「風の集い」で作品を見せてもらったとき、僕は作者の隣で号泣してしまいました。

内容としてはこんな感じです。
長年、子どもと接する「小学校教員」という仕事を愛してきた湯本さん。(その傍らコツコツと自分で映像作品を作っていました)現在、教育現場では上からの管理・締付けが高まっており、本人も理不尽な命令と闘う中で心身に過大なストレスを抱え、ついに自ら退職を選びます。
一方で子どもたちと別れたくないという気持ちは日増しに高まり、葛藤を抱える中で最後の授業に向かいます…。

おそらくは、もっとも苦しい時期を乗り越えるための武器が、まさに「この作品を作ること」だったのでしょう。「教員を辞める自分」を「表現者としての自分」がギリギリのところで見つめ、執念を感じる映像の記録と、抑制された表現を生み出しています。
圧巻はクライマックスの最後の授業。
得意の読み聞かせという形式で、子どもたちへ自らの母の戦争体験を語るという姿からは、お母さんとの愛、生徒たちへの愛が2重ににじみ出ているようです。

この作品は今年の東京ビデオフェスティバルで優秀賞の1本に選ばれ、現在インターネット上で作品を視聴することができます。http://www.jvc-victor.co.jp/tvf/
ぜひご覧になって頂ければと思います。