映画『"記憶"と生きる』10/4音声ガイド付き上映にあたって

2015.09.30 Wednesday

飯田です。
10月3日(土)より横浜シネマ・ジャック&ベティで土井敏邦さんの映画『"記憶"と生きる』が上映されます。
http://www.jackandbetty.net/cinema/detail/717/

10月4日(日)には、横浜ライブシネマによる音声ガイド付き上映があるのですが、今回、音声ガイドを担当させてもらうことにしました。
初挑戦です!


現在、ヨコハマらいぶシネマの活動を中心に、映画の音声ガイドについてのドキュメンタリー映画を製作しています。
取材者でありながら今回音声ガイドづくりをやらせてもらうのには、僕のなかで理由がふたつあります。


ひとつには、ハマらいぶの撮影を続ける中で、代表の鳥居さんから音声ガイドづくりを勧められていたことです。実際にガイドづくりを体験することで見ているだけではわからない発見があるのではと期待しています。

もうひとつの理由は、この作品を自分自身でしっかりと受け止めたいと思ったからです。
僕は劇場でこの「"記憶"と生きる」を観て、完全に圧倒されました。
受け止めたいと心から思うのに、その重みを受け止めきれない自分がいた、というのが正直な実感です。
だから今回音声ガイドづくりを通じて、じっくり向き合う時間が持てることに感謝しています。
この作品は「慰安婦」とされた女性たちの証言が中心ですが、「記憶」の重みとともに「記録」という行為の意義を問うています。


ご存知のように、いまの日本で「慰安婦問題」は、その事実の有無が問われています。
「従軍慰安婦は事実ではない」という人たちは、その存在が旧日本軍の記録に残っていないと主張します。
では、慰安婦とされた彼女たちは、いったい何に苦しめられているのでしょうか?


世に残る「記録」の多くは、権力者や勝者のフィルターが色濃く反映されています。
ドキュメンタリー映画とは、それに贖う手段のひとつだと僕は信じています。


かつて「慰安婦」とされたおばあさん(ハルモニ)それぞれの証言とともに、共同生活を送るナヌムの家の日常を描く、この痛切な記録映像は、書類の有無など吹き飛ばす、残酷なまでのリアリティを私たちに突き付けます。
それは、真実とするには、あまりにも辛い傷です。
でも、その傷を抱えながら立ち上がったハルモニたちの人間性は、並みのフィクションでは到底描くことができぬほど奥深い、真実のみが持ちうる「力」があります。


この映画の撮影は、約20年前です。すでに彼女たちはこの世にいません。
しかし、この映画は、いま、私たちが観るために作られたものです。


この作品は、彼女たちの「生きた証」であり、メッセージです。
戦後70年、政治的にも大きな岐路に立つ、いまの日本でこそ観られるべき作品です。
3時間35分という長尺は、おそらくこの重みと力を感じるに過不足ない時間です。


ついつい、長くなってしまいました。
一言で言いなおします。


この作品は「人間」というものを深く深く照らし出す映画です。

そしてハマらいぶの音声ガイド上映の魅力のひとつに、上映後のお茶会(もしくは食事会)があります。
きっと監督の土井さんもここにお付き合いしてくれるのでは?と期待しています。
この映画の舞台である「ナヌムの家」とは、「分かち合いの家」という意味だそうです。ひとりで抱えて帰るには重い題材だからこそ、ともに映画を語り合い、分かち合うことで、息がつける感覚もあるでしょう。


多くの方とこの映画を分かち合う時間を持てたらと願いつつ、現在音声ガイドづくりに励んでおります。ぜひ足を運んで頂けたら幸いです。

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