どうしても観てもらいたい映画 「壊された5つのカメラ」

2014.02.07 Friday

飯田です。2013年も、時間を作ってはあれこれとドキュメンタリー映画を観ました。
昨年、国内のさまざまな映画賞を受賞した「標的の村」は、確かにガツンと衝撃をくらった作品でした。
こちらは各地で上映が広がっており、3月にはキネカ大森で、「標的の村」&「犬と猫と人間と2」のオトクな2本立て上映もあります。
http://www.ttcg.jp/cineka_omori/topics/detail/27580

沖縄の基地問題と東日本大震災の被災動物、一見異なるテーマのようですが共通する問題も多いように感じています。
3/8(土)には僕もトークで伺いますので、よろしければこの機会にぜひ。

今回、あらためて紹介したいのは、
「壊された5つのカメラ パレスチナ・ビリンの叫び」
という作品です。僕にとってはこの作品が、2013年に観たドキュメンタリー映画のベスト1でした。



<作品解説>
ビリン村で農業を営むイマードは、四男の誕生を機にビデオカメラを手に入れる。
2005年、イスラエル軍が村の中心に「分離壁」を築き、耕作地の多くが奪われる。イマードは息子の成長とともに、イスラエル兵や非暴力のデモを続ける村人の姿を克明に記録する。
銃弾と暴力で何度もカメラを壊されながら生まれた本作は、世界各国で大きな注目を集めている。
アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭観客賞・特別賞、他受賞多数。
(2011年/ 90分 監督:イマード・ブルナート/ガイ・ダビディ)
公式サイト http://urayasu-doc.com/5cameras/

アカデミー賞にもノミネートされ、世界各地の映画祭で受賞している作品ですが、残念ながら日本ではそれほど上映が広がっていません。
昨年9月に横浜のジャック&ベティでこの作品を観たとき、もっと多くの人にこの作品を見せたい、何もせずに埋もれさせてはならないと、思わず熱くなりました。

長らく続くパレスチナの人々の苦難はたびたび報道されてきましたから、多くの人々が繰り返し目にしてきたことでしょう。
そうした映像があまりに多く流されてきたことで、彼らの苦悩はインフレを起こし、本来の価値を失ってしまっているのではないか。
そんな風に感じることがあります。

子どもを殺されたパレスチナの母親が泣き叫ぶ、こうした姿が報じられても、「あぁ、まただ・・・」と目をそらしてしまう・・・。

本来であれば刻一刻と伝えるべき事柄でも、恒常的になってしまうことで、ニュースバリューを喪失していく。
さまざまな事柄に当てはまりますが、パレスチナ問題はその典型ではないでしょうか。

日本にもパレスチナ問題を扱い続けるジャーナリストがいます。
僕もお付き合いさせてもらっている、土井敏邦さんや古井みずえさんはその代表格と言えるでしょう。活躍の場を新聞、雑誌、テレビといったメディアに留まらず、ドキュメンタリー映画として素晴らしい作品を世に出し、私たちに多くのことを伝えてくれています。
しかし、関心を持ってもらうことに毎回苦労されているのも事実です。
そして世界の無関心が、問題の改善や解決を遅らせている、それもまた事実でしょう。

「壊された5つのカメラ」、僕はこの作品を観て、あらためて「映画」を信じようと思いました。
映画には力があることを。

命の危険に直面しながらも、怯むことなくイスラエル軍の暴力と仲間の非暴力の闘いを撮り続けた、監督の勇気と信念に心を動かされました。

邦題では副題として「パレスチナ・ビリンの叫び」とありますが、作品そのものは声高に主張することなく、むしろおそろしく抑制的です。
何年にもわたる膨大な闘いの記録を見直して削っていく編集作業では、何度も叫び出したい気持ちにかられたはずです。
きっと多くの忍耐を要する、もうひとつの闘いだったことでしょう。

「映画」として、妥協なく構成・編集し完成度も高めることが、最大の非暴力の武器となる。
そのことを信じていたのだと思います。

このような作品がパレスチナから生み出されたことに、深い敬意とともに希望を感じています。

映画が社会を変えるとは言いません。
しかし少なくとも、観る人の良心を揺さぶり、観る人を変えてしまう力がある。
それを僕は身を持って感じています。

「壊された5つのカメラ」を、大倉山ドキュメンタリー映画祭で2/23(日)に上映します。
http:// o-kurayama.jugem.jp/

どうか、多くの方に観て頂きたいです。
 
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